農薬販売通販サイト|安い農薬をお探しなら山東農薬オンラインストア



特別価格ご案内バナー



【プロ農家向け】野菜の殺菌剤「予防」と「予防・治療」の違いとは?病害に合わせた使い分けと散布タイミング

本ページの概要:
野菜栽培で発生するうどんこ病、べと病、灰色かび病、疫病、炭疽病などの防除にお悩みの農家様へ。殺菌剤の予防効果と治療効果の違い、病害が発生しやすい温度・湿度条件、発病前・発病初期の散布タイミングを解説。代表的な殺菌剤と FRAC コード、耐性菌を防ぐローテーション散布についても紹介します。

野菜の病害防除で重要な「予防」と「予防・治療」

野菜の病害防除では、「病気が出る前に防除するのか」「初期病斑が出てから対応するのか」で、殺菌剤の選び方が変わります。

殺菌剤は、単純に「予防剤」と「治療剤」に分けられるものではありません。病原菌の感染前に効果を発揮する薬剤に加え、予防効果と感染後の病原菌の進展を抑える効果を持つ薬剤があります。[1][2]

※注意したい「治療効果」の捉え方
ここでいう「治療効果」は、発生した病斑を元の健全な状態に戻すという意味ではありません。感染後の病原菌の生育や進展を抑え、病害の拡大を防ぐ効果を指します。

そのため、基本は発病前の予防です。初期病斑を確認した場合には、予防・治療効果を持つ薬剤を選択し、病害の進展を早い段階で抑えることが重要です。

予防効果とは?

予防効果とは、病原菌が作物へ感染する前に、胞子の発芽や侵入などを抑える効果です。病害の発生が予想される時期や、感染条件が整いやすい時期に使用することで、病原菌の侵入を防ぎます。[1][3] また、多くの代謝系に多点作用するため、薬剤抵抗性(耐性菌)が発達しにくいという特徴があります。

特に、降雨が続く時期や葉面が長時間濡れる条件、ハウス内の湿度が高い条件などでは、発病前の予防が重要になります。

予防・治療効果とは?

予防・治療効果を持つ薬剤は、感染前の予防に加えて、感染後の病原菌の生育や進展を抑える効果も期待できます。[1][2]

ただし、「治療効果がある=発病後でもいつでも効く」という意味ではありません。病害が進行してからでは十分な効果が得られない場合があるため、初期病斑を確認した段階で早めに対応することが重要です。

代表的な野菜用殺菌剤

殺菌剤を選ぶ際は、商品名だけでなく FRAC コード も確認しましょう。

FRAC コードは、殺菌剤を作用機構によって分類したものです。同じ作用機構の薬剤を繰り返し使用すると、薬剤耐性菌が発生するリスクが高くなるため、ローテーション散布では FRAC コードの確認が重要です。[1][2]

薬剤名 FRAC コード 主な効果 系統名
アグロケア水和剤、ボトキラー水和剤 BM2 予防 微生物剤
ICボルドー、Zボルドー、コサイド3000、その他混合剤 M01 予防 無機銅剤
イオウフロアブル M02 予防 無機硫黄剤
カリグリーン水溶剤、ハーモメイト水溶剤 NC 予防・治療 炭酸水素塩剤
サンクリスタル乳剤 NC 予防・治療 物理的阻害
オキシンドー水和剤、キノンドー顆粒水和剤、サンヨール乳剤 M1 予防 有機銅剤
アントラコール、ジマンダイセン、チオノック、ペンコゼブ M3 予防 有機硫黄剤
セイビアーフロアブル 12 予防 フェニルピロール系
フルピカフロアブル 9 予防 アニリノピリミジン系
ダコニール1000、その他混合剤 M05 予防 クロロニトリル系(TPN)
オーソサイド水和剤 M04 予防 有機塩素系(キャプタン)
フロンサイドSC 29 予防 ピリジナミン系
ホライズンドライフロアブル 27、11 予防 シモキサニル系+ファモキサドン系
アリエッティ水和剤 P07 予防・治療 ホセチル系
リゾレックス水和剤 14 予防・治療 有機リン系
トップジンM水和剤、ベンレート水和剤、その他混合剤 1 予防・治療 ベンゾイミダゾール系
ゲッター水和剤 1、10 予防・治療 チオファネートメチル系+カーバメート系
スミブレンド水和剤 2、10 予防・治療 ジカルボキシイミド系+カーバメート系
スミレックス水和剤、ロブラール水和剤 2 予防・治療 ジカルボキシイミド系
アンビル、インダー、オーシャイン、オンリーワン、サプロール、サルバトーレ、スコア、トリフミン、ラリー、その他混合剤 3 予防・治療 EBI(DMI)
リドミルゴールドMZ 3、4 予防・治療 ジチオカーバメート系+アシラニン系
アミスター20フロアブル、ストロビーフロアブル、フリントフロアブル 11 予防・治療 ストロビルリン系(QoI)
シグナムWDG 11、7 予防・治療 ストロビルリン系(QoI)+カルボキサミド系
ベルクート水和剤、ベルクートフロアブル、その他混合剤 M07 予防・治療 グアニジン系
ライメイフロアブル 21 予防・治療 アミスルブロム系
アグレプト水和剤 25 予防・治療 抗生物質
マイコシールド 41 予防・治療 抗生物質
ポリオキシンAL水和剤、その他混合剤 19 予防・治療 抗生物質(キチン合成阻害)
バリダシン液剤 U18 予防・治療 抗生物質(トレハラーゼ阻害)
ピリカット乳剤 39 予防・治療 ピリミジン系
ジャストミート顆粒水和剤 17、12 予防・治療 ヒドロキシアニリド系+フェニルピロール系
スターナ水和剤 31 予防・治療 オキソリニック酸
タチガレン液剤 32 予防・治療 ヒドロキシイソキサゾール系
パンチョTF顆粒水和剤 U6、3 予防・治療 シフルフェナミド+DMI
ランマンフロアブル 21 予防・治療 シアノイミダゾール系
ホライズンドライフロアブル 27、11 予防・治療 シアノアセトアミドオキシム系等
ベトファイター顆粒水和剤 40 予防・治療 シアノアセトアミドオキシム系など
アフェットフロアブル、カンタスドライフロアブル、パレード20フロアブル、 7 予防・治療 SDHI
レーバスフロアブル 4 予防・治療 マンジプロパミド系
※「主な効果」は、各薬剤の一般的な防除特性を「予防」と「予防・治療」に大別したものです。実際の効果は、対象作物、病害、感染段階、使用時期などによって異なります。[1][2]
※混合剤は複数の有効成分を含むため、複数の FRAC コードを持つ場合があります。
※農薬の使用にあたっては、必ず最新の登録内容・ラベルを確認してください。農薬登録情報提供システムでは、農薬名、作物、病害、有効成分などから登録内容を確認できます。[3]

FRAC コードを確認してローテーション散布

殺菌剤を継続して使用する場合、注意したいのが薬剤耐性菌です。

同じ作用機構の薬剤を繰り返し使用すると、薬剤に感受性の低い菌が選抜され、薬剤の効果が低下するリスクがあります。[1][2]

そのため、ローテーション散布では商品名だけでなく FRAC コードを確認することが重要です。例えば、異なる FRAC コードの薬剤を組み合わせることで、同一作用機構の連用を避けることができます。

ただし、FRAC コードが異なれば自由に組み合わせてよいという意味ではありません。対象病害、登録内容、使用回数、連用制限などを確認したうえで、防除体系を組み立てる必要があります。[1][3]

病害別に見る「予防」と「予防・治療」の使い分け

病害は、温度や湿度、降雨、葉面濡れなどの条件によって発生しやすい時期が変わります。病斑が現れてから対応するのではなく、病害が発生しやすい環境を把握し、発病前から予防することが基本です。[4]

うどんこ病

うどんこ病は 20〜25℃前後で発生しやすく、他の多くの病害と比べて比較的乾燥した条件でも発生しやすいのが特徴です。キュウリ、トマト、メロン、イチゴなどで注意が必要です。[4]

発生前は予防効果を重視し、初期病斑を確認した場合は予防・治療効果を持つ薬剤を選択して病害の進展を抑えます。

べと病

べと病は 15〜25℃前後の比較的冷涼な条件に加え、高湿度や葉面が濡れている時間が長い条件で発生しやすくなります。キュウリ、タマネギ、ホウレンソウなどでは、長雨や曇雨天が続く時期に特に注意が必要です。[4]

感染条件が整う前は予防効果を重視し、初期病斑が確認された場合は予防・治療効果を持つ薬剤を検討します。

灰色かび病

灰色かび病は 15〜20℃前後の比較的低い温度と多湿・結露が重なると発生しやすくなります。施設栽培では、夜間の換気不足や過湿、密植などが発生を助長します。[4]

発生条件が整う前から予防し、初期発病時には予防・治療効果を持つ薬剤を活用します。薬剤防除とあわせて換気や除湿を行うことも重要です。

疫病

疫病は 18〜24℃前後で、長雨や過湿、排水不良などの条件が重なると発生しやすくなります。トマトやナス、ウリ科野菜などでは、降雨が続く時期に注意が必要です。[4]

降雨前は予防効果を重視し、初期発病時には予防・治療効果を持つ薬剤を選択します。排水対策や泥はねの防止も病害の拡大抑制につながります。

炭疽病

炭疽病は 20℃台の温暖な条件で、高湿度や降雨が続くと感染が拡大しやすくなる病害です。イチゴ、キュウリ、トウガラシなどで発生が問題になります。[5]

降雨前は予防効果を重視し、発病後は初期段階で予防・治療効果を持つ薬剤を選択します。また、発病葉や発病果実を圃場に残さないことも重要です。[5]

病害の発生条件を見て、先回りした防除を

病害防除では、単純に「病斑が見えたら散布」ではなく、温度・湿度・降雨などから病害の感染リスクを判断し、先回りして防除することが重要です。

発病前は予防効果を重視し、初期病斑を確認した場合は予防・治療効果を持つ薬剤を選択します。その後の防除では、FRAC コードを確認しながらローテーションを組み、同一作用機構の連用を避けます。[1][2]

参考文献
  1. Fungicide Resistance Action Committee (FRAC)「FRAC Code List」「Fungicide Resistance Management」
    殺菌剤の作用機構分類、FRAC コード、薬剤耐性管理に関する資料。FRAC では 2026 年版の FRAC Code List が公開されています。
  2. FRAC「FRAC Mode of Action」および各作用機構別ワーキンググループ資料
    殺菌剤の作用機構および耐性リスクに関する資料。例えば QoI(FRAC 11)は耐性リスクが高く、耐性管理が必要とされています。
  3. 農林水産省「農薬登録情報提供システム」
    農薬名、作物名、病害虫名、有効成分などから農薬登録内容を検索できるシステム。最終更新日は 2026 年 8 月 7 日です。
  4. 農研機構「病害虫・雑草の情報」
    野菜類を含む各種作物の病害の発生生態、防除に関する技術情報。
  5. 農研機構「九州沖縄農業研究センター 新規野菜・花き栽培技術マニュアル」
    イチゴ等の野菜類における炭疽病などの発生生態・防除対策を参照。
>